箸蔵寺 本殿
はしくらじ ほんでん
概要
箸蔵寺は徳島県西部にある真言宗寺院で,近世には金刀比羅宮の奥の院として信仰を集めた。現存する建築群は,文政9年(1826)火災後に再建されたものである。
建築年代は,方丈が安政3年(1856)頃,護摩殿・薬師堂・鐘楼堂・天神社本殿が文久元年(1861)頃,本殿は少し遅れて江戸最末期と考えられる。
箸蔵寺は,本殿,護摩殿,方丈を中心に,神仏習合を色濃く残す寺院である。特に本殿と護摩殿は,傾斜地を意図的に利用し,複雑な構成と特異な造形を併せ持つ雄大な複合建築として貴重である。
また,いずれも装飾細部に巧緻かつ高度な技法を駆使した彫物を多用しており,四国における江戸末期の建築意匠の傾向を代表する壮麗な建築のひとつとして,価値が高い。