絹本著色足利義輝像
概要
立烏帽子をかぶり、紅白の段熨斗目縫箔【のしめぬいはく】網目桐文の小袖に夏の直垂【ひたたれ】、袴を着け、高麗縁【こうらいぶち】の上畳上に端坐する義輝の姿を描く。
足利義輝は十三代将軍で、永禄八年松永久秀に襲われて三十歳で最期をとげる。本像には天正五年(一五七七)十一月、天竜寺妙智院の僧で、当代禅林屈指の人物であった策彦周良【さくげんしゆうりよう】の著賛があり、義輝十三回忌の追善のため描かれたものであることが知られ、桃山期武将像の一面を示すものとして、像主の歴史的意義とともに尊重される。