絹本著色三十三所観音像
けんぽんちゃくしょくさんじゅうさんしょかんのんぞう
概要
一三世紀前半の記録には、長谷寺に始まり三室戸寺で結願する三十三所の巡礼順が記され、本像はこれに依拠して描かれている。本図の図像上の特徴として、古来観音霊場として著名であった像が正確に描かれる点が挙げられ、本図が平安時代以来の伝統的な図像蓄積を背景とすることを物語る。また画面中央に阿弥陀を配することは、寺門派が主導した熊野信仰とのかかわりを示す可能性がある。その制作時期は一三・一四世紀の交にあろう。本図は、三十三所観音像の現存最古にして最大の作例であり、かつ同時代の山水画としても類例のない規模を有しており推奨に値する。
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国指定文化財等データベース(文化庁)