清遠懐渭墨蹟 偈
せいえんかいいぼくせき げ
概要
洪武2年(1369)の月やどる9月某日、十刹第二位の道場山(湖州烏程県)の方丈において、清遠懐渭が蘭江の楚蔵主なる人に書き与えたものである。この頃香る月の桂(木樨)をテーマとして、はじめ四-三言のリズムを続け、「君見ずや」と破調して三言をはさみ、二-五言と転じた自由な形の韻文(謌)である。
筆者清遠懐渭は笑隠大訢(1271〜1344、大慧派)の門下で、ついに杭州銭塘の南山浄慈寺を司った人。もらったのは崑山薦厳の蘭江清楚であろう。龍翔の曇芳忠の嗣とも、了庵清欲(1288〜1363)を嗣ぐともいわれる。筆者は文才に優れ、日本から赴いた五山詩僧絶海中津にも大きな影響を及ぼしている。
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