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南部切田神楽

なんぶきりたかぐら

概要

南部切田神楽

なんぶきりたかぐら

無形民俗文化財 / 東北

選定年月日:20040206
保護団体名:南部切田神楽会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 南部切田神楽は、御神体である獅子による権現舞【ごんげんまい】を中心に、山神【やまのかみ】舞、三番叟、鳥【とり】舞、機織【はたおり】など数多くの演目を、太鼓、手びら鉦、笛の伴奏にのせて演じるものである。
 十和田市は、青森県の東部、東北本線三沢駅から一五キロメートルほど西北西の所にある。切田地区は同市市街地の西を流れる奥入瀬川【おいらせがわ】を渡った所に位置している。
 毎年九月十五日の切田八幡宮の祭礼に、神社拝殿で五頭の獅子による権現舞が奉納される。当日、拝殿の一段高くなった所に、本殿側つまり奥の方に五頭の獅子が並ぶ。権現舞は二人が一組である。手前側に鉢巻に袴姿の舞手が五人並び、それと対になる五人が、烏帽子に白衣で獅子頭を持って、その奥に控えている。手前側には楽人が参詣人を背にして獅子に向かって座る。中央に太鼓、左右に笛と手びら鉦が並んでいる。舞手は、扇を手に舞い始め、後半になると獅子を受け取ってかぶる。奥に控えていた者は獅子の幕を持って、舞を助ける。五人の舞の動作は同じで勇壮に舞われる。ときには、権現舞の後に、三番叟や鳥舞が披露されることもある。
 なお、毎年二月に地域の人びとだけが参加する「おこもり」と呼ばれる行事で数演目を演じている。このおこもりでは四年に一度、多数の演目を一度に上演することになっている。また、各種の御祈祷や家屋の新築などの折にも権現舞が演じられている。
 南部切田神楽は、江戸時代初期に、出羽の羽黒修験者から伝承したものと伝えられ、その後、江戸時代末期に衰えたので、他の地域から伝承者を招き、神楽の再興に努め、合計七五演目以上の神楽を習得したとされる。その内容は多彩で権現舞、山神舞、三番叟、花【はなの】舞などの儀式的な舞から薬師舞、二本剣【にほんけんの】舞、鞍馬山、信夫太郎、天女、龍天【りゅうてん】、杵【きね】舞、盆【ほん】舞、蕨折【わらびおり】、二郎太郎などである。南部切田神楽は東北地方の各地で伝承される修験系の神楽の一つで、その中でも多数の演目を伝承している。
 この神楽の伝承は、かつては切田地区の長男に限っていたとされる。今も基本的にこの原則は守られ、伝承は切田地区の長男を中心に行われている。

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キーワード

/ 神楽 / 演目 / 舞う

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