紺紙金字大宝積経〈巻第三十二/(高麗国金字大蔵経)〉
こんしきんじだいほうしゃくきょう
概要
高麗の統和二十四年(穆宗九年、一〇〇六)穆宗の母后千秋王太后が寵臣金致陽と同心発願して書写せしめた紺紙金字一切経の唯一の遺巻で、その端厳な書風は北宋前期の書法を伝えている。高麗の装飾経の現存最古の遺品であり、殊にその見返【みかえし】絵は成立年代を明らかにする高麗最古の紙本絵画として価値が高い。なお見返には朱筆で嘉慶二年八月権律師豪憲の施入記があり、本経が古くより請来され、南北朝時代末には湖東の金剛輪寺にあったことを伝えている。