論語集解板木
ろんごしっかいはんぎ
概要
論語集解板木
ろんごしっかいはんぎ
歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 室町 / 関東 / 東京都
東京都
室町
32枚
東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
重文指定年月日:19930610
国宝指定年月日:
登録年月日:
独立行政法人国立文化財機構
国宝・重要文化財(美術品)
「論語集解」は魏【ぎ】の何晏【かあん】が前漢の孔安国【こうあんこく】、後漢の鄭玄【じようげん】等の説を取捨し著した『論語』の注釈書である。「論語集解」の版本は南北朝時代の正平十九年(一三六四)に泉州堺で道祐居士により刊行され、以後、室町時代を通じて数度復刻された。これらは「正平版論語【しようへいばんろんご】」と称され、論語のわが国での最初の印刷本として著名である。中国で早く亡びた古注を伝えるものとして、楊守敬【ようしゆけい】がこの版本を得て六朝の遺経として清光緒十年(明治十七)黎庶昌【れいしよしよう】の「古逸叢書【こいつそうしよ】」に収録している。
正平版論語集解版本は、現在五種の版が確認されている。正平十九年の初刻本の板木は失われ、今回指定した板木は室町時代前期に最初の復刻が行われた際のものである。この板木は京都の相国寺に伝わったが、いつの頃か江戸にもたらされ、狩谷掖斎【かりやえきさい】や市野迷庵【いちのめいあん】などの注目するところとなっていた。これが明治三十三年(一九〇〇)に帝室博物館の所蔵に帰したものである。
「論語集解」は一〇巻二〇篇からなるが、板木は全四九枚のうち三〇枚が現存する。一枚の板木の両面に二丁ずつ、計四丁を彫るが、裏面が一丁だけのもの、無彫のものが若干ある。四周単辺で一丁一二行(半面六行)、版心は特に設けず、版心に当たる部分に巻・丁数のみがある。版面外の左右端に整理刻記のあるものもある。左右の枠(把手)は全て失われているが、釘で板木に打ち付けていたことが知られる。
わが国では仏教経典の印刷は早くから行われており、その板木も伝わるが、外典【げてん】の印刷が行われるようになるのは鎌倉時代末期からである。「論語集解」板木は、経書の現存する最古の板木であり、また外典を代表する板木として価値がある。