高野大師行状図画
こうやだいしぎょうじょうずが
概要
本資料は弘法大師空海の一生涯の行動や業績を絵画で表現した絵巻である。このような絵巻の最古の例は保延2(1136)年制作の大和国旧永久寺真言堂障子絵とされているが、数場面を描いただけであり、誕生から高野山入定までをすべて描いた総合的な絵巻は鎌倉時代中期以降に登場する。その時代は鎌倉新仏教の隆盛により真言宗をはじめ奈良、平安時代からの宗派についても祖師、宗祖などの高僧伝が制作される機運が高まり、空海についても絵巻が制作された。弘法大師伝絵巻については「高野大師行状図画」(六巻本)、「高野大師行状図画」(十巻本、以上鎌倉時代成立)、「弘法大師行状絵巻」(十二巻本、南北朝時代成立)などがあるが、本資料の版本「高野大師行状図画」(十巻本)は安土桃山時代が初版であり、江戸時代初期以降に版を重ねられ、普及したものである。弘法大師空海の生涯が全91段の事蹟で紹介され、弘法大師のさまざまな伝説が広まるきっかけとなった絵巻でもある。弘法大師空海の伝記を描いた絵巻は歴史的事実のみならず、弘法大師伝説形成の歴史をあらわす資料といえる。
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愛媛県歴史文化博物館