枯木牧牛図
こぼくぼくぎゅうず
概要
画面の中心は、繊細な筆致を重ねて描かれた、独特の姿をした枯木である。その奇怪な枝振りの枯木は蟹爪樹(かいそうじゅ)とも呼ばれ、李成(りせい)と郭煕(かくき)に代表される五代・北宋の華北系山水画の伝統、そこに連なる元代李郭(りかく)派の系譜をひくものである。枯木の下には、牧童が牛を曳く。あらがう牛の量感あふれる体躯の描写もすぐれている。元代枯木図の優品である。筆者の毛倫は紹興(浙江省)の人、在野の文人で牧牛図や樹石画を得意としたと伝えられる。
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公益財団法人 根津美術館