マドモアゼルS嬢
まどもあぜるえすじょう
概要
1900年に東京で生まれた中西は小さな頃から水彩という技法に魅力を感じ、その面白さを多くの人に知ってもらおうとした。しかし当時の日本では、水彩は油絵のオマケのようなもので、本格的な絵は描けないと考えられていた。中西は理想の水彩画を求めて研究を重ね、1934年には、油彩画が大多数を占める帝展の洋画部門で、水彩画で特選を受賞するなど、数々の受賞を重ねることで、水彩画が油彩画に劣るものでないことを証明していった。この作品からも、確かなデッサン力を背景に、適度な省略や誇張を加え、水彩画独特の透明な美しさを残しながら、油彩画の力強さを超えようとする作家の高い理想が感じられる。