漁村の夏

絵画  油彩画 / 日本 

小川詮雄 (1894-1944)
おがわのりお
1914(大正3)年
油彩・キャンバス
41.0×60.3
額装

 太陽のぎらつく暑い夏、小川詮雄(のりお)は大王町波切を訪れた。灯台がまだ建設されていなかったころの出来事で、小高い丘の中腹から写生されたこれらの家並は、今ではすっかり様変わりしたが、海に浮かぶ岩礁の形だけはほとんど変わっていない。この絵からは、俵屋宗達の作品のような大胆な単純化と変形、ゴッホの筆のタッチと要所を押さえたくま取り、さらには南国を志向したゴーギャンの精神性など、直接的すぎるほどの影響が見て取れる。二十歳という多感な時期だからこそ可能な表現というものがあるとしたら、多分、この絵のようなみずみずしさもその一部であるに違いない。小川詮雄は松阪の出身で、京都市立美術工芸学校(現京都市立芸術大)絵画科で日本画を学んだ。同期に「雨」や「漣(さざなみ)」で知られる福田平八郎がおり、同じ下宿屋に住んでいた。また、岡本神草とは「会誌」という名の回覧雑誌を作るなど、活気あふれる大正時代を謳歌した。(田中善明)

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