大原女

絵画  日本画 / 日本 

浅井忠 (1856-1907)
あさいちゅう
制作年不詳
絹本着色
111×41.5
軸装

 浅井忠の名は、日本の近代近代洋画史上、あまりにも有名であるが、江戸時代末に佐倉藩士の家に生まれ育った浅井は、幼い頃から絵に関心を示し、少年時代に佐倉藩内こ住む南画家から日本画の手ほどきを受けていた。 
 少年の頃日本画を学んだことは、その後の彼の画業にも大きな影響を持っていたようで、生涯を通じで多くの日本画が描かれることになる。
 とりわけ浅井が日本画を熱心に描いたのは、晩年の京都時代のことであった。1902(明治35)年、2年余りのヨーロッパ滞在から帰った直後、京都高等工芸学校図案科教授の職についた浅井は、本業の油彩画、水彩画だけでなく、図案、彫刻、日本画など多方面にわたる制作活動を行った。
 掲載の「大原女」は年紀はないけれども、作風、主題から見て、京都で描かれた作品である。京の街々に柴や薪を売り歩く大原女の婆は、しばしば絵画化されるが、本図では花を手にした大原女が略画風の軽やかな筆致で描かれている。
 浅井が四条派や琳派、狩野派など伝統的な主要な画派の他、民芸的な大津絵なども研究していたことは、残された多くの日本画から知ることができる。本図は本格的な作品ではないが、浅井の幅広い創作の一端と、的確なデッサン力をみることができる作品である。
 画面右下に捺された糾ま、浅井の日本画にしぼしば見られる、木と魚との象形による「木魚」印である。 (毛利伊知郎)

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