世界及日本図
せかいおよびにほんず
概要
一隻に行基図系日本図、一隻に南蛮系世界図を描く地図屏風。16世紀末から17世紀前半にかけて地図屏風は調度として多数作成されたが、本図のように世界図が卵形図法にて描かれるものは最も古い形式と考えられ、東京・小林家本、福井・浄得寺本(ともに重文)および本図の三例のみが伝存する。この三例は、肥前名護屋から朝鮮への航路をあらわすことや朝鮮東北部の情報を書き記すことから、天正20年(1592)の秀吉の朝鮮出兵後に描かれたものであり、地形、地名表記、描写法など大略一致し、同系統の図と認められるものである。 朝鮮半島・中国東北部から、西欧、新大陸にいたるまで世界全体の地理情報を飛躍的に獲得した時代に制作された遺品として重要である。小浜河村家伝来。