ある音楽家のための楽譜
あるおんがくかのためのがくふ
概要
パウル・クレーは音楽家の両親のもとで育ち、自身も幼少からヴァイオリンをたしなみました。そうした音楽体験の影響もあり、音楽を題材とした作品を多数制作しています。
本作では、水彩絵具によって淡く描かれた色の一つ一つがオーケストラのように全体にまとまり、響きあうように構成されています。また、まっすぐに描かれているような線の描写も、良く見るとフリーハンドで描かれ、微妙にぶれたり曲がったりしていることが分かります。そうした表現によって、「音」の暖かさや、「音」が空間に響いていくような様子が描出されています。