中沢遺跡出土祭祀関連遺物一括
なかざわいせきしゅつどさいしかんれんいぶついっかつ
概要
中沢遺跡は、草津市西渋川から栗東市中沢にかけて所在する縄文時代から中世に至る遺跡である。本件は、平成24年度に宅地造成工事に伴い実施した発掘調査により、古墳時代前期から中期(4~5世紀)の河道から出土した遺物で、鍬形石、子持勾玉、有孔円板、剣形石製品、管玉、臼玉、ガラス小玉、二重口縁壺、小型壺、小型素文鏡、腰掛、木製高杯、円板形木製品、剣形木製品、刀形木製品、舟形木製品の計44点からなる。
遺物の大半を占めるのは石製品であり、そのうち鍬形石は緑色凝灰岩製で、表面に縞状の葉理が認められる特徴から、北陸産出の石材を使用している可能性が考えられる。鍬形石は本来、古墳の副葬品であり、集落遺跡から出土することがきわめて珍しく、県内では初例、全国でも2例目(生産遺跡を除く)となる。
次に子持勾玉は滑石製で、弧状に湾曲した親勾玉の背部と脇部と腹部に子勾玉が付けられている。通常、上部には紐を通すための円形の孔が開けられているが、当例は開いていない。出土例としては本市で3例目、県内で16例目となる。他に有孔円板、剣形石製品、管玉、臼玉、ガラス小玉が認められ、有孔円板と臼玉は小型壺に納められた状態で出土したものもある。さらに古墳への副葬例が多い二重口縁壺、青銅製の小型素文鏡も認められた。
また、木製品の出土も多く、その中で腰掛は、裾が大きく広がる台形状の脚と台部とが一木で削り出されている。この形態は出土例が少なく、古墳に副葬される石製品や埴輪の椅子に似ており、祭祀に用いられたことがうかがえる。また、剣形木製品は全長98cmを測る大型品で、柄頭には鶏冠状に7つの突起がある。…