野原八幡宮風流
のばらはちまんぐうふうりゅう
概要
野原八幡宮風流は、2人の稚児が、獅子頭に見立てた笠をつけ、成人男性による歌や笛に合わせて小太鼓と大太鼓を打ちながらゆっくりとした動作で舞う。稚児の舞振りや、稚児の被る笠などの特色から中世的色彩が濃いとも考えられ、九州北部の同種芸能の伝播【でんぱ】や芸能の変遷の過程を考える上で貴重である。
本件は、熊本県荒尾市の菰屋【こもや】、野原【のばら】、川登(かわのぼり)の3地区にそれぞれ伝わる芸能で、10月15日の野原八幡宮の祭礼に毎年奉納されている。
祭礼当日は、各地区とも打込(うちこみ)と称して一舞(ひとまい)した後、道楽【みちがく】を奏しながら野原八幡宮へ向かう。鳥居前で合流し、菰屋、野原、川登の順に行列を整えて鳥居をくぐり、境内の所定の場所で順番に風流を演じていく。風流は、笛と大小の太鼓、歌と大小の太鼓、笛と大小の太鼓の3部で構成されている。小太鼓役の稚児は締太鼓を胸前につけて両手の桴(ばち)で打つ。大太鼓は太鼓持ち役が担いで移動させるが、風流を演じる時は地面に据え、大太鼓役の稚児が片面を2本の桴で打つ。2人はゆっくりとした動作で太鼓を打ちつつ舞い、時には入れ違ったり、片足で跳ねたりする所作をみせる。
稚児が被る笠は獅子頭に見立てたもので、2枚の扇が獅子の開いた口、その中に稲藁【いなわら】で作ったマクラを入れて舌とするなど特色ある形状である。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
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