紅糸威腹巻 附鎧櫃
くれないいとおどしはらまき つけたりよろいびつ
概要
紅糸威腹巻 附鎧櫃
くれないいとおどしはらまき つけたりよろいびつ
熊本県
桃山時代/桃山時代
腹巻は、鎌倉時代後期以来、下級武者が使用した胸から膝までを防御する胴・草摺のみの簡単な作りの甲冑であるが、後に重武装化して兜や籠手等が付き、室町時代には武将も着用するようになったものである。胴は、背中引合で高さは約16㎝、胴廻りは約94㎝、草摺は7枚で長さは約28㎝。黒漆を重ね塗りした無数の鉄片を明るい紅糸で威しており、これに黒漆塗の兜や広袖・籠手・臑当・佩盾(各々頭や腕・足を防御)が付属している。いずれも端正な仕立てで色彩豊かであり、また、軽快で実戦的という桃山時代の甲冑の特徴が良く表れている。
兜:総高15.5㎝、前後25.1㎝、左右19.3㎝
胴:胴高30.1㎝、胴廻94.3㎝
草摺:長さ27.9㎝、裾幅24.4㎝
袖:長さ31.2㎝、幅33.3㎝
籠手:襟首~手甲先(全長)80.6㎝、手甲縦長9.6㎝、手甲幅14.0㎝
臑当:総高32.3㎝
佩盾:52.9㎝、幅30.3㎝(片方)
櫃:総高43.7㎝、(身)高さ(身のみ)28.8㎝、高さ(足とも)37.5㎝、横63.0㎝、奥行60.0㎝、(蓋)高さ9.0㎝、横66.0㎝、奥行62.5㎝
1領
熊本県熊本市中央区二の丸
熊本県指定
指定年月日:20131115
公益財団法人永青文庫(理事長 細川護煕)
有形文化財(美術工芸品)
肥後細川家初代の細川幽斎(藤孝、1534~1610) が着用したと伝えられる「腹巻」である。熊本へ伝来した時期は、『細川家文書』によれば文政13年(1830)のことであり、それまでは江戸の藩邸に保管されていたことが分かっている。また、本件を納める鎧櫃に「藤孝公御鎧」等の貼札があることから、熊本伝来の後は“幽斎公が着用された甲冑”として大切に伝承されてきたことが分かる。