延暦寺 浄土院伝教大師御廟
えんりゃくじ じょうどいんでんぎょうたいしごびょう
概要
延暦寺は天台宗総本山寺院で,境内は比叡山上の東塔,西塔,横川の三塔,山麓の坂本に展開し,元亀2年(1571)の織田信長による焼き討ち後,豊臣秀吉からの寄進を契機に諸堂が再建された。文殊楼は上層内部に仏堂としての構えをもつ二重門である。浄土院は開祖最澄を祀る一郭で,華やかな意匠の御廟や大型の拝殿など,開祖の廟所らしい荘厳な境域を創出する。四季講堂は伝統的な平面構成と近世的な装飾美を兼備した堂で,御廟拝殿とともに横川における元三大師信仰の中枢を担う。天海を祀る慈眼堂は重厚な趣の禅宗様仏殿で,坂本の中核をなしている。
これらの17世紀に三塔及び坂本で整備された堂舎群は,いずれも優秀かつ特徴的な意匠を備えており,比叡山全域における江戸時代前期再興の様相を示すものとして,高い歴史的価値を有している。