瀞ホテル本館
附 宿屋営業許可願 1点
昭和22年8月8日の記がある
どろほてるほんかん
概要
瀞ホテルは景勝地である瀞峡沿いに建つ旅館建築である。瀞峡は吉野熊野国立公園内にあり、奥瀞、上瀞、下瀞に区分される。下瀞は峡谷の両岸に断崖、巨石、奇岩が続き、「瀞八丁」として国の特別名勝および天然記念物に指定されている。瀞ホテルは上瀞と下瀞の境、かつて筏流しの中継地であった田戸集落に位置し、大正6年(1917)に筏宿「あづま屋」として創業したと伝えられる。昭和初期には遊覧観光船の就航を契機に観光旅館へ役割を変え、それに応じて名前も「瀞ホテル」へと変わった。昭和初期には周囲に5軒ほどの旅館があったが、昭和30年代以降徐々に数が減り、同50年代には瀞ホテルのみとなった。周囲の旅館が取り壊されるなか当館は平成以降も営業を続けたが、平成16年に一旦休業となった。その後、同23年の紀伊半島大水害で、浴室・調理場であった南側の附属棟が流される被害を受けたが、現在の所有者が復興を目指し改修を進め、同25年から食堂・喫茶店として営業を再開した。