孔雀鳩文研出蒔絵文庫
くじゃくばともんとぎだしまきえぶんこ
概要
角を丸くした黒漆の文箱の蓋の表面を一段下げた中に、図案化した羽や花を背後にあしらって2羽の孔雀鳩を横向きに配置している。構図は、左右対称を基本に、わずかに変化させ、鳩は上部の金色の鳩が右向き、下の灰色の鳩は左向きで首のみ右に向けている。
色粉蒔絵、梨子地蒔絵、螺鈿によって画面に変化がもたらされ、華やかさがある。
箱の側面は、中央よりやや上を一段下げた中に、羽のような形を図案化して、四面に配置している。
昭和戦前から戦後間もない時期のデザインを思わせる魅力的な作品。
箱の内側は黒漆塗のみ。蓋裏には銘がある。
※作者について
大井見太郎は、号、大見。射水郡下関村(現 高岡市上関町)に生まれた。昭和15年(1940)京都で蒔絵を修業し、高岡へ戻って独立。高岡技術工芸義塾(のちに高岡市塗装技術指導所に名称変更)に22年勤務して業界を指導した。高岡市伝統工芸産業技術保持者、富山県指定無形文化財保持者に認定されている。昭和27年(1952)、第8回日展に初入選し、以後7回入選している。
主要参考文献
「高岡漆物語」伝統工芸高岡漆器協同組合 発行 (1996) p.123 ほか