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大日野原遺跡出土の土偶付深鉢形土器及び人体文深鉢形土器

おびのっぱらいせきしゅつどのどぐうつきふかばちがたどきおよびじんたいもんふかばちがたどき

概要

大日野原遺跡出土の土偶付深鉢形土器及び人体文深鉢形土器

おびのっぱらいせきしゅつどのどぐうつきふかばちがたどきおよびじんたいもんふかばちがたどき

土器・土製品類 / 縄文 / 関東 / 神奈川県

神奈川県

縄文時代

 土偶付深鉢形土器は、1体の土偶が取り付けられた屈折底をもつキャリパー形深鉢である。祭祀具である土偶があたかも座り込むように実用の調理具の土器口縁部へ内向きに装着された非常に稀有な造形で表されている(土偶は軟X線撮影により中空構造を改めて確認)。外面の色調は鈍い褐色から明赤褐色を呈し、胎土には金雲母が少量含まれる。器形は算盤玉状の屈折底部から胴部上半で緩やかにすぼまり、口縁部の文様帯でキャリパー形に広がってその上の無文帯が外傾して直立する(口唇部は上面が平坦で、内側に肥厚して逆三角形状)。口縁部の2段構成境界には装着された土偶直下に双環突起が付き、口唇部には土偶両脇に環状突起が備わる。土偶接合部の口縁部内縁は土偶装着による自重で口縁直下がやや下膨れ状となることが観察され、接合面はもとより土偶と土器の接合に誤りがないことがわかる。土偶は、右手を胸回りに左手を腹部に当てた勝坂土偶様式のいわゆるポーズ土偶を示す。土偶の腕・胴・臀各部は無文で、手には沈線による刻みで3本指を表す。さらに背中からうなじにかけては、小さい双環突起の加飾で後頭部を支えるように設えられる。胴部正面は両手先の位置から乳房や腹部膨張の表現は見受けられないが、肥大した臀部を呈することから勝坂式期の土偶資料に見られる女性像と判断される。
 人体文深鉢形土器は、縦位の区画文の中に両手(前肢)に3本指をもつ人形様の象徴的な造形文様を配した胴張りの円筒形深鉢である。全体の2分の一ほどが発見されていないため対向する欠損部における図文表現の有無は不明である。外面の色調は赤褐色を呈し、胎土には金雲母が少量含まれる。口縁部は丸みのある無文の隆帯状で、口縁直下から底部にかけて人体文及びパネル文で埋め尽くされる。いわゆる半人半蛙文と呼ばれる人体文は、山形状の頭部、木葉形の胴部及び左右に大きく広がるU字状の両手足部(手先に3指造形あるも、足先には指表現なし)からなり、全体に立体的装飾が施されてシンメトリックな動物意匠を想起させる。パネル文は斜行沈線で充填するもののほか数種類の文様が見られ、多様な施文手法はパネル文土器としての特徴も表している。

土偶付)器高42.2㎝、口径29.2㎝、土偶高10.2㎝
人体文)器高25.5㎝、口径16.5㎝、底径9.4㎝

2点

神奈川県相模原市中央区高根3-1-15

相模原市指定
指定年月日:20190930

有形文化財(美術工芸品)

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