写経断簡「釈摩訶衍論(巻第六)」 しゃくまかえんろん

 / 日本 


「釈摩訶衍論」
【成立】
漢訳では「竜樹菩薩造」となっているが、竜樹(ナーガールジュナ)の真作ではない。安然の悉曇蔵では新羅の月忠の撰述であるとされていることから7世紀~8世紀に唐もしくは新羅で成立したと考えられる。
【内容】
10巻。大乗信論の注釈書ではあるが、単なる注釈書にとどまらない独自の思想が述べられている。立義分では大乗起信論が絶対的な真如門と相対的な生滅門とに分類するのに対して、本論は絶対的な不二摩訶衍と相対的な三十二問法とに分ける。三十二法は真如と生滅とに分かれ、生滅は覚と不覚に、覚は本覚と如覚に分かれる。解釈分では大乗起信論が差別の9職を立てるのに対して、本論は平等の10識を立てる。以下大乗起信論の本文に対して注釈される。第1巻では因縁分・立義分、第2巻から第7巻までは解釈分、第8巻から第10巻前半までは修行信心分、第10巻後半から最後までは勧修利益分が注釈されている。
【後世への影響】
中国では、華厳、天台などの宗派に引用され、唐末、五代、北宋、南宋の時代に影響を及ぼした。日本にはAD781に伝えられて以来、偽撰説を唱える学者が多かった。空海は不二摩訶衍の思想は真言密教を説くものであるとし、本論を真言所学三蔵に入れた。
【関連経典】
大乗起信論

大蔵経全解説大事典(1998年)より抜粋

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