写経断簡「阿毘達磨俱舎論(巻第二十九) / 伝 伝教大師」 あびだつまくしゃろん

 / 平安 / 日本 

最澄 (766~822)
さいちょう
平安時代初期

「阿毘達磨俱舎論」
対法論、聡明論、俱舎論ともいう。
【成立】
5世紀中頃。説一切有部の論師世親(ヴァスバンドゥ)が北インドのガンダーラ地方で著した。
【内容】
30巻。説一切有部の教義を偈頌にまとめ、それを長行(散文)で注釈したもの。偈頌の注釈の仕方は、サンスクリット原典において一頌毎に注釈するのとは異なり、だいた一偈(四頌)ごとにまとめて注釈する形態をとっている。その内容は、説一切有部の教理の百科事典的性格を持つ大毘婆沙論の大網を意識下に、雑阿毘曇心論を訂正増補したような形で編成されている。ただ、その解説の中には、説一切有部の書論とは言いながら、その随所に経部的立場(世親自らが大乗仏教に転向する過渡期に説一切有部への批判的立場を経部に仮託したと考えられる)からの批判が見えており、この点に関して、衆賢の順正理論によって激しく糾弾されることになった。
【後世への影響】
本書論は、大乗の側からも批判的に説一切有部の教理を学ぶのに便利でもあり、古来大乗の学徒にも珍重されることになっただけでなく、後に中国や日本では、俱舎宗という学派まで形成されて、今日まで大きな影響を与えている。
【関連経典】
阿毘達磨俱舎釈論・阿毘達磨俱舎論本頌・俱舎論実義疏・俱舎論記・俱舎論疏など

大蔵経全解説大事典(1998年)より抜粋

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