雲珠
うず
概要
これは雲珠(うず)といい、馬にとりつける馬具の一部です。古墳時代・6世紀頃に作られたもので、当時の権力者の墓である古墳に、死者とともに収められた副葬品です。
中央の丸いふくらみから、外側に向けて四角いパーツ(脚)がいくつものびています。現在6つある脚はもともと8つあったと思われ、それぞれに鋲どめされた革などのベルトで、鞍を固定したり、別の装飾パーツとつながったりしていました。
鉄のベースの上に、銅に金メッキをした金銅製の板が重なっています。金色がよくのこっており、当時の輝きが想像できます。これは戦闘用ではなく、飾り馬具で、馬に乗る人の権威をあらわす豪華なものです。
この雲珠は、神奈川県横浜市の室ノ木古墳から出土した馬具の一部ですが、こうした副葬品から、その時代の権力者の特徴を知ることができます。この雲珠が作られた古墳時代後期、6世紀頃は、金色に輝く装飾つきの大刀(たち)や馬具が多く副葬されました。こうした品は、地方では手に入らない貴重な材料と高い技術で作られており、ヤマト王権が地方の豪族に権威付けのために与えたものと思われます。つまり、この時代にはヤマト王権と地方の豪族との支配関係が定まっていたことが副葬品からうかがえるのです。