米良山の神楽
めらやまのかぐら
概要
米良山の神楽は,大がかりな御神屋(みこうや)を設けて,三十三番の演目を徹夜で演じる神楽である。土地に由来する様々な神が登場する演目や,狩猟に因む演目など特色ある内容や独特の所作を伝えている。宮崎県の山間部に伝承される夜神楽の一つで,九州を始め,広く西日本における神楽の変遷の過程を考える上で注目される事例である。
米良山の神楽は,宮崎県中部の九州山地に源を発し日向灘に注(そそ)ぐ一ツ瀬川上流域に伝承され,11月から12月の各神社祭礼において演じられている。大がかりな御神屋と呼ぶ舞処(まいど)を設け,神職と祝子(ほうり)や社人(しゃにん)と称す人々が神楽を舞う。御神屋には独特の飾りが施され,猪(いのしし)の頭などが供えられる。西米良村の村所(むらしょ)神楽では,鎮守の村所八幡神社から御祭神である面を迎える「面様迎え」の後,神楽が始まる。神(かみ)神楽という地域に由来する様々な神が登場する神事性の強い演目が前半にあり,続く後半には民(みん)神楽と総称される娯楽性の強い演目が演じられる。また,番外として狩猟に因(ちな)む「狩面(かりめん)」が演じられる。音楽は長胴(ながどう)の締太鼓,笛,銅拍子で演奏される。