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椎葉神楽

しいばかぐら

概要

椎葉神楽

しいばかぐら

無形民俗文化財 / 九州

指定年月日:19910221
保護団体名:椎葉神楽保存連合会

重要無形民俗文化財

 椎葉村は宮崎県の北西部、熊本県に接する位置にある山村で、平家落人伝説とか、ひえつき節などで世に知られている。日向市方面からの道路が開通したのは昭和八年頃であるなど、近年まで秘境と称されてきた所である。村の各地に神楽が伝承されてきたが、今日なお二六か所ほどの地にて執り行われている。毎年十一月、十二月の間、各地神社の大祭に演じられている。
 この神楽の由来を示す確たる資料は見出されていないものの、栂尾【つがお】地区の神楽について、同地の神主黒木済門之助が天正の頃、肥後の阿蘇神社から神楽を習い伝えて来たのだという言い伝えがあり、また同地には寛永九年(一六三二)の墨銘をもつ神楽面が所蔵されている。
 神楽は、祭壇(高天原と称す神座)を設け、注連【しめ】を引きまわし、天井からくも(天蓋様のもの)を吊るなどして飾り付けられた祭場(御神屋【みこうや】と称し、以前は民家をこれにあてていたが、今日では神社拝殿などがあてられる)にて執行される。猪や鹿などの供え物の調整や幣切りなどの準備作業の後、神迎え、三十三番を基調とした諸演目の上演と続き、多くは夜を徹して行われる。演目はおおむね、幣、鈴、扇子、榊枝、刀、弓ほかを手にとって舞う「採【と】り物舞【ものま】い」と、鬼神の面などを着けて舞う「面の舞い」の二種に大別できる。一人舞、二人舞、三人舞、四人舞とあるが大きな動作でさっそうと舞う姿が印象的である。なお、地域により、舞いのテンポ、演目などに多少の相違をみせている。最後に神送りがあって祭りの次第を閉じる。
 椎葉は、平野部から隔絶された山地であったため明治の廃仏毀釈の影響などをこうむるところが少なく「唱【しよう】ぎょう」と称する神の本地や採り物の謂れを説く唱え言に、神仏混淆の色合いを濃く残し伝えており、また各次第とも簡略化されることなくよく古風を留めている。さらに、一村内で今なお二六か所もの多くの神楽を信仰深く執り行っている例はきわめて稀少であり、貴重な伝承である。
 なお、椎葉神楽は昭和五十五年に記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財に選択されて、調査記録が作成されたが、このことを通じ、当神楽が神楽の変遷を知るうえできわめて重要な位置を占めるものであること、また地域的特色もまた顕著なものであることがあきらかとなったものである。

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キーワード

神楽 / / / 舞う

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