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見立許由巣父図

みたてきょゆうそうほず

概要

見立許由巣父図

みたてきょゆうそうほず

絵画 / 江戸

川又常正筆

江戸時代・18世紀

絹本着色

縦82.2 横26.8

1幅

 かがんで、川の流れに手をのばしている女性と、黒いぶちのある犬を連れてそこから立ち去ろうとする女性。ちょっと不思議な絵ですが、これは中国古代の故事、「許由巣父(きょゆうそうほ)」をあらわしています。許由と巣父は、どちらも中国の伝説的な人物の名前です。皇帝から、天下を譲ろうと言われた許由は、汚れたことを聞いたと潁水(えいすい)という川の水で耳を洗い清めました。同じく皇帝の申し出を拒絶した巣父は、耳を洗っている許由を見て、そのような汚れた水を牛に飲ませることはできないと連れて帰った、というのがもともとのエピソードです。地位や名声をきらう、高潔さをあらわすことのたとえを、若い娘と犬に置き換えて描いています。
 このように、当世の風俗を故事や逸話になぞらえて鑑賞する「見立て」の趣向は、江戸時代に流行し、浮世絵で多く描かれるようになりました。当時は、見ただけで「許由巣父」の見立てと分かる人が多かったのでしょう。また、こうした一点ものの肉筆画は、版画とちがい、床の間を持つ人がかけて楽しむもの。おそらくある程度身分が高く、教養のある人が見ていたのかもしれません。
 作者の川又常正は肉筆画の作品のみが知られている、経歴不詳の絵師ですが、ほっそりと華奢な人物の描き方が特徴です。

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