許由巣父図
きょゆうそうほず
概要
俗世間での出世や権力を嫌う中国古代における伝説上の人物、許由(きょゆう)と巣父(そうほ)の故事を描いた作品です。時の帝王、尭(ぎょう)が許由に天下を譲ると伝えると、許由は耳が汚れたといって川の水で耳を洗って箕山(きざん)という山に隠れてしまいます。牛に水を飲ませるためにその川にやってきた巣父は、そんな汚れた水を牛に飲ませるわけにはいかないといって引き返していくというお話です。
画面は対になっていて、岩場に腰掛けて耳を洗う許由が、牛を牽いて引き返していく巣父を見つめているような構図です。背景とモチーフの間に霞を描くことで、奥行きのある空間を演出しています。
人物に注目してみましょう。服や帽子の線は太くはっきりとした筆遣いで、一方、顔や手足は細い線で緻密に表現されています。さらに、許由を描く際には、人物のまわりを白く抜き、墨の線に強弱をつけて描くことで、許由に視線が集まるように描いています。
この作品にはそれぞれ、絵師が使った「輞隠」(もういん)と書かれたつぼ型の印が押されています。「輞隠」は、日本絵画史上最大の絵師の集団である狩野派の一人、狩野之信(ゆきのぶ)ではないかと言われています。之信は狩野派の基礎を築いた二代・狩野元信の弟で、室町時代後期・16世紀ごろに活躍しました。
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