許由巣父図屏風
きょゆうそうほずびょうぶ
概要
個性的な画風で注目される江戸中期の絵師、曾我蕭白の注目作品。中国古代の堯帝が許由の噂を聞いて彼に帝位を譲ろうと申し出るが、許由は、「汚らわしいことを聞いた」と潁水の流れで耳を洗い、同じ申し出を受けた巣父は、許由が耳を洗うのを見て「汚れた水を牛に飲ませるわけにはいかぬ」と牛を引き返させたという。野卑な人物の表情、独特の目つき、画面のほとんどをうめつくす圧倒的な描写、明暗の強いコントラストが生み出す幻想的なムードは蕭白特有で、強烈な印象を観るものに与える。一方で、極細の墨描や繊細なグラデーションなど細部描写は、抜群にすぐれている。蕭白30~33歳頃の作と推定される。数少ない最初期の力作として貴重。