少年道化

油彩画 

三岸好太郎 (1903-1934)
ミギシ、コウタロウ
昭和4年/1929
油彩・キャンバス・額・1面
78.0×63.0
7回春陽会展 東京府美術館 1929

26
少年道化
Boy Clown
1929年
油彩・麻布 78.0×63.0㎝
三岸好太郎は1926年に中国を旅した。なかでも上海のイギリス租界・フランス租界での体験は彼に強烈な印象を残したが、それらが独自のマティエールの創造と結びついて道化師やマリオネット連作へと結実したのは、この作品の描かれた29年ごろのことである。ルソー風の素朴な人物画や草土社調の風景画から、南画風の静物画を経て、道化師・マリオネットのエキゾティズムへ、さらに繊細な線による《オーケストラ》連作や抽象的コンポジション、そして最晩年の蝶や貝殻をモティーフとした独自のシュルレアリスムへと、彼はめまぐるしいばかりにスタイルの変貌を重ねたが、そこに一貫するものがあるとすれば、それは空間――個をとりまくもの――に対する彼一流の詩的センスであろう。その点、この道化師のまわりの深い闇は、初斯の人物を包むどこか牧歌的な暖かみの残る空間と、最晩年の蝶や蛾のゆく気味の悪いほど明るい天上の空間との中間に、おそらくは位置づけられる。舞台をおりた道化師――絵筆をおいた画家――の背後にあるのは、幾重にも塗り重ねられた絵具の層と、その表面をむやみになぞる筆跡とが象徴的に示す、深さの知れない、手がかりのない空間である。そこには、彼を絶えざる自己外化と自己変貌へと追いたてた、人問存在の境位――個のおかれ方――に対するさめざめとした胸のうちが見える。

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