面の男 めんのおとこ

油彩画 / 昭和以降 

三岸好太郎 (1903-1934)
みぎし こうたろう
昭和3年/1928
油彩・キャンバス  額装
縦90.8×横60.9cm
第7回春陽会展 東京府美術館 1929

面の男
Masked clown
1928年
北海道立三岸好太郎美術館蔵[O-29]

三岸好太郎は、1928(昭和3)年から1932(昭和7)年にかけて、道化をテーマとした作品を数多く制作している。サーカスで活躍する道化は、三岸の持つロマンティシズムやグロテスクといった多様な資質を表現するのに格好の題材であり、そのシリーズは彼の画業に一時代を画すものとなった。その制作に数年さかのぼる1926(大正15)年の中国旅行の際、西欧的な雰囲気の漂う上海で見たサーカスの印象が、道化を描くひとつのきっかけとなったともいわれている。
「面の男」は、「少年道化」(東京国立近代美術館蔵)とともに、1929(昭和4)年の第7回春陽会展に出品された作品。三岸が道化をテーマとした作品を展覧会に発表したのは、これがはじめてである。
サーカスの人気者として注目を浴びるイメージとは裏腹に、ここに描かれているのは、舞台での剽軽なしぐさは影をひそめ、マスクを外して静かに休息する道化の姿。そこには深い憂愁が漂っている。人前ではつねに陽気に振る舞い、巧みな弁舌で決して人を飽きさせることがなかったという三岸の別の一面がこうした道化の姿に託されていたのかもしれない。

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