道化役者 どうけやくしゃ

油彩画 / 昭和以降 

三岸好太郎 (1903-1934)
みぎし こうたろう
昭和7年/1932
油彩・キャンバス(板で裏打)  額装
縦222.2×横167.2cm
第2回独立美術協会展 東京府美術館 1932

道化役者
Clown
1932年
北海道立三岸好太郎美術館蔵[O-48]

三岸好太郎の現存作品中、最大の150号の意欲作である。制作の構想を記した前年晩秋の友人宛の手紙によると「5人の道化」というタイトルで「人世の総ての姿」を表現しようとしていたらしい。その後、独立展を直前に控えたインタビューでは「道化と女」か何かを描くと語っており、実際に画面にはそれらしい輪郭もかすかに認められる。当初に意図した群像表現は満足するものではなかったのかもしれず、構想は大きく転換したようである。筆の速いことで知られた三岸だが、会期も迫っての大作の描き直しで焦燥もあったことだろう。展覧会では、「何故にかくの如き大きな画布を必要としたか」(福島繁太郎)と大画面の未消化を批判されるなど、評判は芳しいものではなかった。しかし、俯瞰的な視点による大胆な構成や、線描による見物客の省略化などには、それまでの主情的表現から新たな造形へ踏み出そうとする三岸の意思が感じられる。
一人物思う静かな姿が多い三岸の道化のなかでは珍しく、演技中の様子が描かれている。演目は綱渡り。大きく両手を広げて危うくバランスをとる道化。その緊張のシーンを見上げる大勢の観客は半ば戯画化されて、切迫感とユーモアが同居している。

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