琉球談
りゅうきゅうばなし
概要
『琉球談』は寛政2年(1790)、同3年、同7年、同9年、刊行年不明なものも含めて、多くの版本が普及した著作物である。本作品は寛政2年の初版本で、序文は前野達、跋文は須原屋市兵衛。著者の森島中良は蘭学者、戯作者で、幕府医官の桂川国訓(1728~1783)の次男で、医学者・蘭学者の桂川甫周(1754~1809)の弟である。本書は、明和3年(1766)に和刻本が刊行された『中山伝信録』(徐葆光(?-1723)著、康煕60年(1721年)刊)に注目し、日本と琉球との関わりを記した内容や風俗の記事を読み下し、加筆したもので、それらを人々が親しみやすいように紹介する。本作品から、蘭学者が琉球を如何に紹介したか、江戸時代の人々が琉球に対してどのような認識を持っていたかが窺える。