『渡海標的』 とかいひょうてき

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文書・書籍 / 富山県 

石黒信由 (宝暦10年~天保7年)
いしぐろのぶよし
富山県射水市
江戸後期〔初版は天保7年(1836)刊〕/1760~1836
紙・和装本(明朝綴)・印刷(木版)
縦24.5㎝×横16.8㎝(半紙本)
1
富山県高岡市古城1-5
高岡市(高岡市立博物館保管)

 越中の和算家・測量家・天文暦学者である石黒信由の著である。
 外題(げだい)は書題簽(元の刷題簽が欠損し後補の貼紙に墨書で書名を記す)。表紙・裏表紙は茶色。
序文(「天保四年初秋」、4丁)は信由の高弟で現在の高岡市内島の十村・国学者の五十嵐小豊次(篤好)。序文冒頭右下に蔵書印(朱文方形印)「相馬氏/蔵書記」と朱文円印「吊□不淡」がみられる。その後に信由の自序(同年夏五月、3丁)、「総括(1.5丁)」、「凡例(10.5丁)」と続き、11丁目から本文が始まる。
 巻頭首題は「渡海標的」である。石川県立図書館(田中文庫)本には見返しと奥付がみられるが、本史料には無い。見返し中央には「算法 渡海標的」とあるが、「算法」は小字で横に書かれている(これは厳密には一字ずつの縦書きで「角書」という。角書とは「書物の題名などの上に、その主題や内容を示す文字を2行または数行に割って書いたもの」(小学館「デジタル大辞泉」)である。各図書館HP等には本書の書名を『算法渡海標的』とするものが散見されるが、通常、巻頭首題は書名として最も重要視される(森越博『加越能古書整理の手引き』p34)ので本史料もこれに従う。
 また、見返し中央には続けて「地球略図添之」ともあり、「地球略図」(別紙画像参照)が付属していたはずだが、これも欠損している。
 信由による跋文(天保六年夏五月)の後には、「加賀金沢柴野美啓子中撰/同 時年七十一観斎橘応書」とある。
 奥付(本史料には欠損しているが)には「天保七丙申年夏 製本/書舗/江戸 須原屋茂兵衛/大阪 河内屋喜兵衛/尾州 永楽屋東四郎、芸州 米屋兵助/京都 天王寺屋市良兵衛/同 巽 善右衛門/加州 塩屋与三兵衛」とある。「書舗」は書店の意であり書肆ともいう。よって版元かどうかは不明である。各図書館HP等には本書の版元を筆頭の「江戸 須原屋茂兵衛」とするものもあるが、「奥付に複数の版元名が並ぶ場合は、あくまで目安として最後に位置する書店を主版元とし、その他を合版元とする」(森越前掲書p35)とある。したがって、最後の「加州 金沢観音町/塩屋与三兵衛」の可能性が高い。
 最後の頁には、「頭書図解四書略解 (重田)蘭渓先生著 全十冊/書林 文苑閣/江戸日本橋 播磨屋勝五郎蔵板」の広告が貼り付けられている。この貼紙の年代は不明だが、この書は嘉永6年(1853)初版、明治8年(1875)重版である。本史料『渡海標的』は天保7年(1836)の初版だが、この貼紙により、実際はそれより後の重版の可能性もある(見返しと奥付が欠損していることも初版ではない可能性を示唆している)。
東京海洋大学附属図書館HPによると本史料は、「真水の精製法など、航海上必要な技術をまとめている。船が難風にあって、漂流して帰港出来なくなる船乗りが多いので船位を知るために、天文航法を紹介すると記されている」とあり、さらに「航海術の書であるが、数学測量の見地から研究したもので、海路安心録の誤謬を正したに留まり、従来の書と変わるところがない。船の上から北極星を測る方法と図が示されている」とある。
また、中には北極星や北斗七星の図が刷られた円形の紙の中心が留められており、自由に回転させることができる頁(31ウ)と時刻を回転させて合わせると北極星の位置が分かる同様の円形紙がある頁(33オ)もある。
 表紙・書題簽と裏表紙に若干の傷みがみられるが、本文の状態は良好である。

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