『湯津爪櫛 よる藻』(稿本) ゆつつまくし よるも

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文書・書籍 / 江戸 / 富山県 

五十嵐篤好 (1793~1861)
いがらしあつよし
富山県高岡市
江戸後期
紙・和装本(大和綴)・写本
縦24.3㎝×横18.2㎝(半紙本)
1冊(15丁)
富山県高岡市

 越中砺波郡内島村(現高岡市内島)の十村・国学者・歌人などとして多彩な業績を残した五十嵐篤好(1)の稿本である。
 表紙右上には大きく「よる藻」とあり、その右上に小さく「五十嵐篤好原稿」とある(自筆ではないであろう)。中央には「湯津爪櫛」(2)とあり、左下に「篤好」とあるが、自署か花押かは判然としない。
 右下には小字で「(此□ノ下ニ□ヨリ□マテ□/□見ヘ□□百人一首□□論ノ中/ニ入リタリ ウラカヘシテ見ルヘシ)」とある(これも異筆と思われる)。
 左上に墨印「杜鵑花園叢書/第「八((墨書))十」集」が捺された紙片が貼付してある。右下には蔵書印が2つある。右は朱文長方印「藤蔵書」、左は朱文楕円印「残花書屋」(3)とある。
 見返しには言霊学の音声表「真澄の鏡」(4)がある。巻頭右下には朱文長方印「巖松堂古典部/波多埜扱斯書」(5)がある。「早苗」「あし(足)」「き(気)」「五月」「身」などの語(おそらく歌語)についての解説に終始している。本文は所々に校正の後がみられる。これが『湯津爪櫛』のための原稿なのかどうかなどの分析は今後の調査が必要である。
 若干の虫損がみられるが、状態は良好である。

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《注》
※1【五十嵐 篤好】いがらし あつよし
1794・1・17~1861・3・5(寛政5・12・16~万延2・1・24)
国学者・歌人・十村役・農学者。砺波郡内島村(現高岡市)の十村五十嵐之義の長男として
生まれる。通称小豊次,のち孫作。号は臥牛斎・雉岡など。少年時,石黒信由に算学を学ぶ。19歳で十村役を襲ぎ,舟倉用水開削などに功績があったが,加賀藩政策上の処置で1819年(文政2)能登島に流刑された。やがて十村役に返り咲き砺波郡総年寄役にも任命された。『高免考』以下数冊の農政書を著述。富士谷御杖・中村孝道に国学・言霊学を学び独学で書道史を研究,『言霊旅暁』『本朝墨談』そのほか多くの国学・歌学の著述をした。農民の困窮を救うため奔走した努力がかえって藩に嫌われ,38年(天保9)と58年(安政5)には謹慎処分を受けたが,ひるまず,烈々たる農民魂を持ち続けた。公務で金沢出張中に中風で病没。享年69歳。『ふすしのや詠草』全12冊に5700余首の和歌を残すが,万葉調の力作が多く,越中第1の歌人・国学者であった。〈広瀬 誠〉
(「富山大百科事典[電子版]」平成29年6月16日アクセス)

※2【『湯津爪櫛』】ゆつつまぐし
篤好の著書。上下巻。国学・言霊学を基礎とした歌論書。文久3年(1863)刊(金沢・近岡屋等版)だが、安政4年(1857)の篤好の自序があり、その成立年がわかる。上巻は『日本書紀』や『万葉集』の歌について、下巻は『古今和歌集』の序文について論じている。篤好は既に下巻と同じテーマを文政9年(1826)の『古今集序爪櫛』で論じている。
(金井利浩・綿抜豊昭『五十嵐篤好 古今集序爪櫛』桂書房、2013年)

※3 この蔵書印主は戸川浜雄(とがわはまお)で、「実業家。旧幕臣・詩人・宣教師であった、戸川残花(戸川安宅)の息子で、樋口一葉と交流があった戸川達子の兄弟。/戸川浜雄 実業家 又名浜男 号賓南  残花養嗣(『増訂 新編蔵書印譜』中巻による)」とある。
(HP「蔵書印データベース」国文学研究資料館、平成29年6月16日アクセス)

※4【真澄の鏡】ますみのかがみ
 言霊学では、「ますみ(真澄)の鏡(言霊75声の配列表)は、万物の形は音声の配列によって構成されている」といい、「八尋殿」、または「天津宮言の表」ともいうとされる。
(HP「志あるリーダーのための「寺子屋」塾」/前田比良聖「和良久の世界/第18話・
第112話」)平成29年6月16日アクセス

※5 この蔵書印主は波多野重太郎(はたのじゅうたろう)。古書肆巌松堂。1958(昭和33) 8月18日没、年84。静岡の人。晩年大船に隠居せるも、商売を再開。目録が出た時は朝早くから人が列をなしたという。長沢規矩也「思い出す人々」(「日本古書通信」1974(昭和49) 7月号)に逸話あり。(「近代蔵書印譜」による)とある。
(HP「蔵書印データベース」国文学研究資料館、平成29年6月16日アクセス)

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