経筒
きょうづつ
概要
経筒とは、仏教経典をおさめていた入れ物です。この経筒には、文字がたくさん刻まれています。よく見ると、ふたの表面にまで書かれており、その数は783文字におよびます。ここには、寂円(じゃくえん)という名前の僧が3年かけて写経をし、土の中に埋めたという経緯が書かれています。
この経筒は、さらにひとまわり大きな容器に入れられ、大切に埋められていました。経筒の中には紙の経典が何本かおさめられていたはずですが、長い間地中にあったため、今は木でできた軸のかけらしか残っていません。
なぜ、大切な経典を土に埋めたのでしょう?それには、平安時代以来の末法(まっぽう)思想が関わっています。末法とは、お釈迦様の死後2000年目に始まる、仏教が衰えてしまう時代のこと。しかし、その仏教は56億7000万年後に再び栄えると考えられていました。経筒は、そのはるか遠い未来に、お釈迦様の教えを説いた経典を届けるためのいわばタイムカプセルなのです。
経典を埋めた場所を経塚(きょうづか)といいます。10世紀の終わりごろに日本で発生したといわれる経塚は、経典をおさめた人の社会的地位や、古代・中世・近世という時代の移り変わりによってその形や共におさめられる品も変わっていきました。ぜひ、ほかの時代の経塚の出土品とも比べてみてください。
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