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鵲尾形柄香炉

じゃくびがたえごうろ

概要

鵲尾形柄香炉

じゃくびがたえごうろ

朝鮮・三国時代または飛鳥時代・6~7世紀

真鍮製鍛造鍍金

全長39.0 炉口径13.3 高10.2

1柄

国宝

香木を焚いて仏に捧げるため手に持つ道具です。聖徳太子に仏教の哲学を教えた僧、慧慈法師(えじほうし)が用いたものとして伝わりました。慧慈法師は朝鮮半島の北部に栄えた高句麗(こうくり)から渡来した僧侶で、飛鳥時代前期における仏教文化の中心的な存在でした。
この作品は真鍮(しんちゅう)を打ち出して作られたもので、表面に金メッキが施されています。当時、真鍮はペルシャの特産品として知られ、中国では4世紀以降、真鍮に関する記述が残されています。わが国ではこの柄香炉をはじめ、正倉院宝物にいくつか使用例がありますが、いずれにせよ、極めて貴重な素材であったと考えられます。
柄の先が3つに分かれていて、鵲(かささぎ)という鳥の尾羽(おば)のようなので、鵲尾形柄香炉(じゃくびがたえごうろ)と呼ばれています。火炉(かろ)と呼ばれる香木を炊く部分は底が深く、刀の鍔(つば)のように縁が張り出し、柄(え)には大きな半球状の飾りが付いています。こうした形は奈良時代以降の柄香炉と大きく異なっており、わが国に残る最古の作品と考えられます。
火炉の台座が特殊な花形をしていることにもご注目ください。花弁の間には内側に丸い穴がありますが、これは6世紀から7世紀の朝鮮半島の百済(くだら)における飾り金具に多く見られる特徴です。これにより、この作品は朝鮮半島で制作され、わが国にもたらされたもので、実際に聖徳太子の周辺で使用されていた可能性が考えられます。

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