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ブランコに乗るクリシュナとラーダー(ヒンドル・ラーガ)

ぶらんこにのるくりしゅなとらーだー

概要

ブランコに乗るクリシュナとラーダー(ヒンドル・ラーガ)

ぶらんこにのるくりしゅなとらーだー

絵画

制作地:インド・北デカン

18世紀末~19世紀初

紙に水彩、金彩

1枚

 インドでは、インド神話や、シヴァ神、ヴィシュヌ神などのヒンドゥー教の神々、王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋愛などさまざまなテーマを緻密なタッチと鮮やかな色彩で描いた、細密画とよばれる絵画のジャンルが発達しました。多民族国家であるインドでは、細密画の表現も地域によってさまざまで、それがまた魅力であるともいえます。
 インド独自に展開した細密画の表現の一つに、ラーガマーラがあります。ラーガとは、インド北西部における伝統音楽の旋律(せんりつ)のことです。この旋律に、男女の物語をうたった詩を掛け合わせた音楽を絵画化したものが、ラーガマーラです。ラーガマーラには、男性の旋律であるラーガ、女性の旋律であるラーギニー、その子の旋律であるラーガプートラやラーガプートリーがあります。この絵は男性の旋律を絵画化したものです。
 ヒンドルとはブランコのことです。青い肌の男性はヒンドゥー教の神クリシュナで、ヒンドゥー教の神々の中で、最も信仰を集めました。その隣の女性はクリシュナの妻ラーダーです。二人は仲睦まじくブランコに乗っています。周りにいる女性たちは二人のためにブランコを揺らしたり、さまざまな楽器を演奏したりしています。遠景(えんけい)の空には雨雲を描いています。
 ヒンドル・ラーガは本来、雨季が到来(とうらい)した喜びを音楽の旋律として表現したものなのですが、それが細密画の世界では男女の物語と組み合わせる形で表現されているのです。

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