文殊菩薩及び眷属像 もんじゅぼさつおよびけんぞくぞう

絵画 / 鎌倉 

鎌倉時代・13世紀
絹本着色
89.9x43.3
1幅

 画面中央に、獅子に乗った姿で描かれているのが「文殊(もんじゅ)の智恵」で知られる文殊菩薩(もんじゅぼさつ)です。ことわざの通り特に智恵に優れた菩薩です。周りには、4人の従者がしたがいます。画面右下に、先だって全員を案内する善財童子(ぜんざいどうじ)、その後ろに仏陀波利三蔵(ぶっだはりさんぞう)。画面左下には、獅子の手綱をとる優填王(うでんおう)と、その左隣に大聖老人(たいせいろうじん)が描かれます。このように文殊菩薩を中心にした5体の群像を文殊五尊(もんじゅごそん)と呼んでいます。この作品では、さらに文殊菩薩の左右に付き人のような菩薩も描かれています。一行の足元に細い線で雲が描かれているのは、雲に乗って、信仰する人々の前に現れた姿を現していると考えられます。
 一般的な文殊菩薩像は、普賢菩薩(ふげんぼさつ)とともに釈迦の左右につきしたがう姿で描かれるか、獅子に乗った単体の姿で表されていました。この作品のような文殊五尊の形式は、文殊菩薩の聖地とされる、中国、五台山(ごだいさん)の信仰を背景として生まれた群像形式の文殊菩薩像の一つとして成立したと考えられています。そのため、五台山文殊とも呼ばれます。日本では、9世紀に当時の中国にあった国、唐(とう)に渡った天台宗の僧円仁(えんにん)が、群像形式の文殊菩薩像を造って以降、五台山文殊の信仰が広がります。そして、従者の数にいくつか種類がある中で、文殊五尊の形式の像は遅くとも10世紀の末には日本に伝えられ、以後、五台山文殊といえばこの形式が主流となり、鎌倉時代に流行します。
 この作品で注目したいのは、衣や装飾品の描き方です。ひだや裾の縮れが細かく描きこまれ、特に文殊菩薩の肩にかかる先のとがった肩当ては、非常に凝った形をしています。文殊と両隣の脇侍(わきじ)菩薩の光背(こうはい)の色のぼかし方も合わせて、中国・宋時代の仏画の影響を強く受けていると考えられています。画面の中には多くの人物が登場し細かなところまで描かれていますが、使われる色数は抑えられ、全体として落ちついたまとまりを見せています。

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