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無相居士あて尺牘

むそうこじあてせきとく

概要

無相居士あて尺牘

むそうこじあてせきとく

/ / 中国

大慧宗杲禅師筆

制作地:中国

南宋時代・12世紀

紙本墨書

本紙 縦37.9 横65.5

1幅

国宝

 ためらうことなく振るわれた筆は右肩上がりの線をえがき、文字は左方向へ前のめりになるかのように傾いています。文字の形や紙面の体裁にあまり意識を払っていなかったのでしょうか。何かにとらわれることなく実に堂々たる書きぶりで、左右に広がりをみせる恰幅(かっぷく)の良い字のすがたです。
 筆者の大慧宗杲(だいえそうこう)は、中国の北宋時代末から南宋時代初めに生きた禅宗の僧です。北宋や南宋の皇帝からも篤い尊敬をうけたという禅僧、圜悟克勤(えんごこくごん)に禅を学び、径山(きんざん)の万寿寺(まんじゅじ)や阿育王山(あいくおうざん)の広利寺(こうりじ)など、禅宗の大寺院で活躍しました。一時、二千余人を超える門弟を抱えていたと言います。しかし大慧(だいえ)は秦檜(しんかい)という役人から弾圧を受けることになり、53歳からおよそ15年もの間、湖南省の衡州(こうしゅう)、次いで広東省の梅州(ばいしゅう)に流されました。
 この書は、梅州にいた頃かその前後に、門弟であった無相居士(むそうこじ)に送った手紙とみられます。字の姿は精彩にとみ、僻地(へきち)での苦難にもくじけぬ大慧(だいえ)の精神性の高さがうかがえる名作です。

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キーワード

/ / / 墨蹟

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