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黄釉牡丹唐草文広口壺

おうゆうぼたんからくさもんひろくちつぼ

概要

黄釉牡丹唐草文広口壺

おうゆうぼたんからくさもんひろくちつぼ

陶磁 / 鎌倉

瀬戸

鎌倉時代・14世紀

陶製

高27.1 口径16.7 底径14.3

1口

重要文化財

 土で形を作り、焼いて器にすることは、日本では縄文時代、およそ14,000年前から行われており、世界的に見ても長い歴史を有しています。低い温度で焼きあげた、柔らかく吸水性のある「陶器」を作る時代をへて、17世紀には、高い温度で焼きあげた、硬く吸水性のない「磁器」の製造が始まります。この間、陶磁器の材料や技術は、その時々で中国や朝鮮半島の影響を受けながら、着実な進化をとげてきました。
 12世紀ころには、日本の各地に、陶器を専門に製造する地域が生まれていました。それらの地域は、陶器に適した良質な土があること、器を焼く窯(かま)を築くのに必要な斜面があること、窯で燃やす薪にする樹木が豊富なこと、製品を流通させるのに適した港や道などのルートが整っていることなど、さまざまな条件にかなったところでした。現在の愛知県瀬戸市一帯も、そうした地域の一つで、13世紀半ばころ窯が開かれました。瀬戸窯(せとよう)は、当時輸入されていた中国陶器を手本として器を作ることから始まります。特に中国から喫茶の風習とともにもたらされた茶碗や茶壺などを手本として器を作ることにより、技術はおおきな進歩を遂げました。
 この壺は、全盛期の瀬戸窯が作り上げた代表作の一つといわれています。粘土紐(ねんどひも)を巻き上げて形を作り、胴には蓮華唐草の文様を彫り表し、全体に黄緑色(きみどりいろ)の釉薬(うわぐすり)を施しています。手本とされたのは、美しい青磁製品を製造したことで有名な、中国の龍泉窯(りゅうせんよう)で焼かれた、牡丹唐草文様の青磁の壺と考えられます。しかし中国青磁の、端正で硬質な印象とは対照的に、やや歪(ゆが)みのある器の輪郭や、大きくのびやかな牡丹唐草の彫り、濃淡のある釉薬など、開放的でおおらかな気分にあふれています。

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キーワード

/ 龍泉 / 青磁 /

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