梅蒔絵擬鼈甲櫛
うめまきえぎべっこうくし
概要
馬爪製、町形、角棟の挿櫛である。町形の形状は、京都で宝暦9年(1759)に刊行された『圖式雛形/蒔繪大全』に図示され、また江戸では高原形とも呼ばれて明和・安永期(1764~1781)に流行したともされる。馬爪製の櫛類は、享和年間(1801~1804)に鼈甲が高騰した際に考案されて流行した。総体金地としてところどころを虫喰い状に透かして素地を見せ、梅樹を高蒔絵で表す。特に梅花は膠下地で高上げして朱漆を塗り、金貝を極付しているが、金貝が剥落したり下地から剥落している。 花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。