褐釉擂座柳斗文小壺
かつゆうるいざりゅうとうもんこつぼ
概要
黄褐色の素地をもち、内面と口唇部に褐釉をかける。胴部から底部にかけて、先端が櫛歯状に分かれた箆で「U」字を入れ子状に施した柳斗文を飾る。頚部はやや窄まり、長石釉をかけたと思われる白乳色の円座を茶釜の擂座のようにめぐらす。中国の七里鎮窯は晩唐から明初にかけて操業した民窯で、宋元時代に全盛期を迎えた。青磁、青白磁、白磁などを焼成したが、南宋から元時代にかけては黒釉ないし褐釉を施した擂座小壺も作られた。この種の小壺は江西省内の南宋墓で出土するが、福岡県太宰府市金光寺跡、山梨県北巨摩郡高根町西割遺跡、また新安沈船でも類例が見つかっている。このことから、鎌倉時代から南北朝時代にかけての日本にも輸出されていたことが知られる。