文化遺産オンライン

後三年合戦絵巻 巻上

ごさんねんかっせんえまき まきじょう

概要

後三年合戦絵巻 巻上

ごさんねんかっせんえまき まきじょう

絵画

飛騨守惟久筆

南北朝時代・貞和3年(1347)

紙本着色

45.7x1957.4

1巻

重要文化財

 平安時代後期、11世紀末期に東北地方で起こった戦乱を描いた絵巻です。当時東北地方で力を持っていた豪族、清原氏の一族の内部で起こった争いとその争いに介入した源義家(みなもとのよしいえ)の活躍を描いています。源義家は平安時代後期の武将で、鎌倉幕府を開いた源頼朝や、室町幕府を開いた足利尊氏の祖先にあたる人物です。絵巻は3巻が残っており、今回ご紹介するのはそのうちの上巻です。源義家は弟・義光(よしみつ)らとともに、東北地方を支配していた清原家衡(きよはらのいえひら)・武衡(たけひら)を攻めますが、苦戦を強いられます。その後、軍勢をひきいて家衡らがこもる拠点を目指す途中、空を渡る雁の列の乱れから、敵がひそんでいることを知り、これを大いに打ち負かします。
 この絵巻の特徴は、何といってもサイズの大きさ。画面の天地が約45センチメートルもあり、絵巻の中でも大きい部類に入ります。画面が大きい分、人物も大きく描かれており、その表情まではっきりと見ることができます。また色使いにもご注目ください。明るい色使いで戦場の場面が軽快に描かれています。こういった色使いは14世紀後半の南北朝時代に作られた絵巻に特有のものです。
 さらにこの絵巻には、貞和三(1347)年に制作され、絵は飛騨守惟久(ひだのかみこれひさ)、内容を説明する詞書(ことばがき)は持明院保脩(じみょういんやすのぶ)によるものであるということが記されています。この当時、絵や書を書いた人物がはっきり分かっていることは珍しく、貴重な作品といえます。
 絵巻の筋書きは比叡山の僧、玄慧 (げんえ) が起草したこともわかっています。武士ではない人物の視点から描かれた合戦絵巻であるということを踏まえて見てみるのも、この絵巻の楽しみ方の一つかもしれません。

後三年合戦絵巻 巻上をもっと見る

飛騨守惟久筆をもっと見る

東京国立博物館をもっと見る

キーワード

絵巻 / 源義家 / 合戦 / 清原

関連作品

チェックした関連作品の検索