松鶴蒔絵十種香箱
ショウカクマキエジュッシュコウバコ
概要
芦辺の松の下に鶴の親子がにぎやかに集うおめでたい文様の十種香箱。香を聞きくらべて遊ぶ組香の道具一式を収める箱で、内面にも梅の花を金銀の蒔絵で描いている。箱の中身は連衆の成績を記す記録板、香木を割ったり削ったりして準備するための香割道具、香木を入れる重香合や総包み、香や灰を扱う火道具、火道具を建てる香筯建、香木を炙るのに用いる銀葉とその箱、銀葉を並べおく銀葉盤(ふつうは貝製の花形だが、本品では銀製の源氏香の図)、燃料である炭団とその箱、唐木製の聞香炉一対、連衆が回答に用いる香札、香札の投票用の封筒である折据や、投票用の箱である札筒などである。火道具の柄は鼈甲や染めた象牙に蒔絵で梅を描いたりしており、豪奢をきわめた香道具である。