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東坡三養図(とうばさんようず)

概要

東坡三養図(とうばさんようず)

日本画

富岡鉄斎  (1836-1924)

トミオカ、テッサイ

大正10年/1921

墨画淡彩・紙本・軸・1幅

132.0×49.5

右上に自賛、年記、落款、印章

個展 大阪高島屋 1921

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東坡三養図(とうばさんようず)
Su Dongpo Eating Sparingly for Health, Nourishment, Wealth and Happiness
1921年
紙本墨画淡彩・軸 132.0×49.5cm
蘇東坡(そとうば)は蘇軾(そしょく)、前・後赤壁賦で有名な宋代の詩人である。三養とは分際に安んじて福を養い、胃をくつろげて元気を養い、費用を節約して財を養う、以上の三つのために飲食を節約しようとの意である。黄州に流されていた時代に書かれたもので、鉄斎は『東坡事類』の中にこの一文をみつけて描いたらしい。鉄斎は画家ではなく本来儒者であり、その画も人の役に立つ有益なものであり、単に鑑賞を目的とするようなものではないと考えていた。まず画中の賛文を読んで理解し、それから画をみてほしいと常々語っていたという。この作品は款記からも知れるように、鉄斎86歳の時のものであるが、一般に鉄斎の場合晩年に近いほどその評価は高い。確かに年を感じさせぬ墨痕の力強さ、自由濶達な筆づかい、そして若い頃学んだ古土佐を充分に咀嚼したと思われる賦彩の巧みさなど、その作風には何ものにもとらわれない、スケールの大きさが感じられる。それは「万巻の書を読み、万里の路を行き、胸中より塵濁を脱去し」という文人精神そのままに、しばしば旅を繰り返し、数万冊といわれる蔵書を読破して身につけた深い教養と高潔な精神性に裏打ちされていたからでもある。明治に入ってフェノロサや岡倉天心の南画排撃にあって、凋落の一途を辿(たど)った日本の南画で一人孤高の位置を保ったのも、また当然のことといえよう。

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