熊野垂迹神曼荼羅図(乙本)
くまのすいじゃくしんまんだらず
概要
「熊野曼茶羅」は、時代の下降に応じて形式も変化し、室町時代になると、吉野・大峯から熊野の山々、那智の滝などの背景を全く省略して、主要な神仏だけで構成されるようになる。本図はその典型で、十二所権現のほかは、礼殿執金剛童子と切目・滝尻・発心門の各金剛童子および白描の燈籠を描くにすぎない。三所権現・五所王子は、全て背屏の付いた礼盤に坐し、勧請十五所以外の四所明神は、各金剛童子とともに磐座の上に立つ。なお、法体が一般的である証誠殿(本宮)が俗体で描かれている。