津の停車場(春子)

絵画  油彩画 / 明治 / 日本 

鹿子木孟郎 (1874-1941)
かのこぎたけしろう
1898(明治31)年
油彩・キャンバス
57.1×39.0
額装

 18世紀後半に蒸気機関が発明され、19世紀前半にそれを応用した機関車が誕生して以来、西洋社会は大きく変化をしました。
 近代美術に目を向けると、鉄道をテーマに描いた作品は数多く存在し、19世紀のヨーロッパ絵画、イギリスのターナーやフランスのモネの作品などがよく知られています。
 近代日本では、開国とともに鉄道敷設がはじまり、1872年(明治5)10月に新橋・横浜間に初めて旅客列車が開通します。その前後から鉄道は近代国家の表象として、錦絵や明治期の油彩画において描かれていくようになります。
 今回ご紹介するのは、鹿子木孟郎が1898年(明治31)に描いた《津の停車場(春子)》です。鉄道を主題とした油彩作品としては比較的早い時期のものです。
 鹿子木孟郎は1896年(明治29)9月から99年4月まで、藤島武二の後任として三重県尋常中学校(現・三重県立津高校)の図画教諭として勤務し、その間の97年11月に郷里の岡山から妹尾春子を妻に迎えます。
 この作品は、記録から1898年に津の駅付近で描かれたことが知られていますので、結婚後間もない妻の姿を描いた作品ということになります。
 鉄橋の上にたたずむ着物姿の女性は、線路の彼方を見つめています。鉄橋の向こうには線路や駅舎が描かれ、さらにその奥には町並みが描かれています。女性の後ろ姿を丁寧な筆致により大きくとらえているのに対し、そのほかの部分はスケッチ風の描写で大まかに描いています。
 画家自身は元々、この作品に愛妻の名を取り、「春子」という題名をつけていたといいます。鹿子木が津に赴任していた時期は3年足らずと短い期間ですが、新婚生活を送った津での思い出をこの作品に重ね合わせていたのでしょう。(原舞子)

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