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小河氏庭園

おがわしていえん

概要

小河氏庭園

おがわしていえん

名勝 / 近畿 / 兵庫県

兵庫県

三木市本町3丁目

登録年月日:20070206
管理団体名:

登録記念物

酒造業に端を発し、播磨地方の実業家・政治家としても名を馳せた小河秀太郎の別邸とその庭園である。正確な完成年代は不明であるが、残された古写真などから、明治時代末期には庭園を含む邸宅の全体が完成していたものと考えられる。
 南北に細長い形状を持つ敷地は四周に石垣を巡らせ、その南半部に主屋を含む木造建築群、北半部に園池を中心とする主庭を配置する。
 敷地の北端中央部に開く塀重門を入ると、霰零に飛石を配した緩やかな登り勾配の導入路が、約30m上方に位置する主屋玄関の前庭部へと連続する。
 上段の間を伴う主屋の主座敷からは、縁先右手の手水鉢や飛石を打った平坦な前庭部の向こう側に、奥行きの深い主庭を望むことができる。主屋が位置する敷地南半部の高さを基準に主庭の地形造成を企図したためか、園池の水面と周囲を巡る築山との比高が大きく、主庭の全体に対して園池の水面の占める面積が小さくなっている。このことが、主座敷から見る園池に一層の深まりを与えている。
 園池への導水源は園池東端に位置する石組の湧水で、水落石の上面を欠け込んで水の落ち口を造っている。その下方に続く流れには、渓谷を象って大きな石を両側から迫り出すように組んでいる。園池の四周は大ぶりの石を組み合わせて護岸し、水面に迫り出した平らな石の上に大きな燈籠を設えたり、流れの護岸と一体とって洞窟風に石を組んだりした部分もある。
 主屋とその背後に位置する離れ座敷は濡れ縁又は廊下で結ばれ、その内側が蹲踞や飛石などを配した中庭となっているほか、敷地の南端、離れ座敷の背後にも、燈籠や飛石を配した裏庭が存在する。
 昭和4年(1929)に来訪した朝香宮鳩彦王のために浴室等が造作され、これに伴って主屋の東側の狭隘な空間に露地風の庭が整備された。
 以上のように、近代播磨地方の実業家・政治家の住宅庭園として、小河氏庭園が持つ造園史上の意義は深く、同時代に属する類型の中でも、特に意匠又は構造面の特徴となる造形をよく遺していると考えられる。

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キーワード

庭園 / / 築山 / 飛石

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