四万十川流域の文化的景観 下流域の生業と流通・往来
しまんとがわりゅういきのぶんかてきけいかん かりゅういきのなりわいとりゅうつう・おうらい
概要
「四万十川流域の文化的景観 下流域の生業と流通・往来」は、四万十川下流域が示す豊かな自然環境と、農林業によって形成される多様な土地利用、流通・往来の営みによって生み出された市街地によって形成される文化的景観である。
四万十市は四万十川下流域に位置し、黒尊川区域、四万十川下流区域、四万十川河口区域から構成される。四万十川第一支流である黒尊川流域は広大な森林資源を有し、一部の原生林が保護されるとともに体験型学習の場として活用されている。また四万十川下流区域は、豊富な水量と広い川幅や河原を持ち、火振漁など淡水漁業が営まれる貴重な場となっている。黒尊川と四万十川の合流部に展開する口屋内地区は、物資輸送において上流域と河口域を結ぶ中継地として栄えたところであり、材木の輸送や宿泊に使用された建造物が集落内に遺存し、当時の面影を留めている。
四万十川河口区域は、四万十川本流のうち、四万十市入田から河口までの約13.5kmとその河畔林及び下田を含む区域である。このうち、河口から約9km上流までが汽水域で、この水域の広さが豊かな生物相を育むとともに、川魚や藻類の生産を含む生業の場としての価値を高めている。河口部に位置する下田地区は、中世期から四万十川を介した積み出し港として発展し、町の成り立ちを示す街区やかつて豪商が暮らした建物の一部が残り、独特の景観を作り出している。